モデルの内田雅楽(うちだ・うた)さんは、俳優・本木雅弘さんとエッセイスト・内田也哉子さんのご長男。
女優の故・樹木希林さんのお孫さんでもありますね。
内田雅楽さんは、東京の「西町インターナショナルスクール」から、世界一学費が高いことで有名なスイスの寄宿学校「ル・ロゼ学院」に留学。
その後バスケットボールを学ぶため、アメリカのスポーツ専門校「IMGアカデミー」へ移り、大学は「ドミニカン大学カリフォルニア校」へ進学されました。
その教育方針には、祖母の樹木希林さんの子育て・孫育て哲学が反映しています。
また、母(=希林さんの一人娘)内田也哉子さんが、インター出身で留学を経験されていることも大きいでしょう。
今回のブログ記事では、
- 内田雅樂さんのプロフィール
- 内田雅樂さんがスイスで通われた寄宿学校「ル・ロゼ学院」
- 内田雅樂さんの英語力
- 内田雅樂さんのモデル活動歴
- 樹木希林さんの孫育て・内田也哉子さんの子育てと「留学適齢期」
などについて綴ってみたいと思います。
1)内田雅樂(うた)さんのプロフィール
内田雅樂(うちだ・うた)
- 生年月日:1997年10月1日(2024年で27歳)
- 身長:189cm(パリの所属モデル事務所「success」ウェブサイトより)
- 出身:東京都
父の本木雅弘さん31歳、母の内田也哉子さん21歳のときに誕生した、長男の内田雅楽さん。
妹は、2歳年下で女優の内田伽羅(きゃら)さん。
弟は、13歳年下の玄兎(げんと)くん。
きょうだい3人ともインターナショナルスクール出身です。
そして、祖母の樹木希林さんとは、同居されていました。
祖父のミュージシャン・内田裕也さんは、別のお住まいでしたが・・・
芸能一家に生まれ育った雅樂さんは、実は2歳のとき、NHK大河ドラマ「葵徳川三代」に徳川家光役として出演しています(主演は津川雅彦。樹木希林さんが春日局役)。
2)内田雅樂さんのグローバルな学歴~インター校からスイス「ル・ロゼ学院」へ~
内田雅樂さんは、小学校時代を西町インターナショナルスクールで過ごします。
同校は、母・内田也哉子さんの出身校でもあります。
西町インターについては別記事↓↓↓に詳しく書いていますので、よければお読みくださいね。
● 世界一学費が高い寄宿学校・スイス「ル・ロゼ学院(Institut Le Rosey)」とは」
内田雅樂さんは12歳で、スイスのボーディングスクール(寄宿学校)「ル・ロゼ学院」に留学します。
雅樂さんは、ファッション誌VOGUEのインタビューでスイス留学について振り返り、
「家族と離れるのはつらかったし、最初は恋しさも募ったけど僕は案外、自立心も強いので状況に慣れるまでに時間はかからなかった」
とおっしゃっています。(※1)
さて、雅樂さんが通ったル・ロゼ学院とは、一体どのような学校なのでしょうか?
ル・ロゼ学院(Institut Le Rosey)
- 所在地:スイス ヴォー州 ロール/ベルン州 グシュタード
- 設立年:1880年(男子校として発足し、1967年に女子校舎を開設)
- 生徒数:約400名
- 生徒の出身国:約60ヶ国
- 開講学年:小学校~高校(8~18歳)
- 資格認定:国際バカロレア(IB)・フレンチバカロレア
- 年間学費(2021-2022):127,800スイスフラン(約1,530万円)※
- 卒業した有名人(日本のみ):
高田万由子(女優・タレント。夫は音楽家の葉加瀬太郎)
エレナ・アレジ後藤(ジャン・アレジ・後藤久美子の長女)
森恵(デザイナー・森英恵の次男。日本人生徒第1号)
芦田多恵(デザイナー・芦田淳の次女)
丹下憲孝(建築家・丹下健三の息子。日本人生徒第3号)
内田雅樂(内田也哉子・本木雅弘夫妻の長男/樹木希林の孫)
※スイスフラン=120円で計算
ル・ロゼ学院は、1880年に創設された、スイス最古の寄宿学校の1つ。
レマン湖畔にある14世紀の古城「シャトー・デュ・ロゼ」がメイン校舎です。
世界中の王侯貴族や政治家などの子弟が通う名門校であり、卒業生にはモナコ公国大公レーニエ3世やベルギー国王、イギリス王室やデンマーク王室関係者、ロスチャイルド家やロックフェラー家の子弟、ジョン・レノンの息子のショーン・レノンなどなど・・・
この学校の学費は、なんと年間約1,500万円!世界一高額と言われています。
高額な学費の理由は・・・
● 生徒5人に先生が1人!きめ細かい少人数教育
ル・ロゼ学院は生徒数に対して先生の数が多いので、5~6人で受ける授業が多いようです。先生とマンツーマンの授業もあるのだとか。
最高の教育を追求することを大切にし、生徒が学びたいと希望すれば柔軟に対応。
必要であれば1人の生徒のためにでも教師を雇うなど、学生に惜しげもなく費用をつぎ込むそうです。(※2)
● スポーツは乗馬にゴルフにヨット・・・厩舎には馬が30頭!
ル・ロゼ学院の特徴は、充実したスポーツ施設。
レマン湖に隣接するメインキャンパス、ロール校舎の敷地内に
- テニスコート10個
- 屋内プール(25m)+サウナ・ジャグジー等
- 屋外プール(25m)
- サッカー場
- ラグビーピッチ
- ランニングトラック
- 射撃場
- アーチェリー場
などがあります。
また、敷地外に
- 乗馬施設+馬30頭
- ゴルフ場(18ホール)
- レマン湖沿岸に100mのヨットハーバー+38フィート(11.6m)のヨット
を所有し、貴族的なスポーツも練習することができます。
● 冬はスキーリゾート地がキャンパス!
ル・ロゼ学院は、ウィンタースポーツに並々ならぬ熱意を注いでおり、なんと1~3月の間は、欧州最高級のスキーリゾート地グシュタードにキャンパスが完全移転!
授業は午前中で終わり、午後は毎日スキーやスノーボードをします。
1年の間に2つのキャンパスを移動する学校は、世界でもル・ロゼ学院だけだそうです。(※3)
● 学校ホールでフィル・コリンズやベルリンフィルのコンサートが!?
メインキャンパスには、2014年に完成した900名収容のコンサートホール「ポール&ヘンリー カーナルホール(Paul & Henri Carnal Hall)」があります。
ここの音響設備のすばらしさは、スイス国内では有名なのだとか。(※4)
このホールは、生徒たちの音楽・演劇・ダンス等の発表に使われるのはもちろんのこと・・・
2016年にはフィル・コリンズが
2017年にはベルリン・フィルハーモニーオーケストラが
プライベートパフォーマンスを披露したそうです(※5)
● 年に2回の本格的パーティー!女子は華やかなカクテルドレスで盛装
ル・ロゼ学院では、11月上旬にシニアボール、2月14日にバレンタインボールという大きなパーティーがあります。
シニアボールが1年で一番大きな行事で、ホテルのロビーなどを借り切って、女子は華やかなカクテルドレスを着て、食事やダンスを楽しむそうです。
● 進学率も一流!18%が米アイビーリーグ&英オックスブリッジへ
ル・ロゼ学院では英語とフランス語が必修言語であり、9年生(高校に相当)からは英語クラスとフランス語クラスに分かれます。
英語クラスの生徒は、米英等の大学進学に向け、国際バカロレア資格の取得を目指します。
進学実績は素晴らしく、ル・ロゼ学院の公式サイトによると、18%が米トップ8校(アイビーリーグ)と英トップ2校(オックスブリッジ)へ。
さらに40%が、ラッセルグループの大学やニューヨーク大学など、世界トップ40の大学へ進学しています。
● 一番大事な収穫物は・・・世界中に張り巡らされた卒業生ネットワーク
イギリスの新聞「ザ・テレグラフ」紙のランキングによると、ボーディングスクールの学費世界ランキングで、トップ10のうち8校がスイスの学校が占めます。(※6)
スイスのボーディングスクールは、ル・ロゼ同様世界各国から生徒が集まり、多くがIBを取得して、米英等の大学へ進学していくそうです。
イギリスのボーディングスクールは、留学生が少数派で「イギリス人の中に入って学ぶ」感覚なのに対し、スイスのボーディングスクールは留学生が多数派で、出身国も多岐にわたるのが特徴。
ル・ロゼ学院は、国際的な環境を維持するために、生徒の国籍が偏らないよう「一国籍10%まで」という上限制を採用しているそうです。
トップクラス富裕層の子どもたちが、世界中から集まったル・ロゼ学院。
卒業時には同窓会から名簿(annuaire)が渡され、そこには存命するロゼアン(卒業生)全員の連絡先が書かれているそうです。(※7)
そして実は、同窓生から電話がかかってきたら、面識がなくても必ず会うという暗黙のルールがあるのだとか。(※8)
ル・ロゼ学院で得られる一番の収穫物、それは卒業生間の「人脈」でしょう。
人脈こそ、最高額の学費を支払ってもなお、余りある価値を持つ。
世界トップクラスの富裕層たちは、それをよく理解しているのだと思います。
※1:VOGUE JAPAN 2019/4/15「日本芸能界の寵児、UTAが選んだモデルという道。」より
※2:YUKASEE media 2010年「王侯貴族が集うスイスの名門校『ル・ロゼ』での高校生活」より
※3:畑中由利江「富裕層が求める世界最高の教育はどんなものか」PRESIDENT WOMAN 2019/10/13 より
※4:スイス留学.com 2019/8/9「母校のル・ロゼへご家族をお連れしました」より
※5:William Clarence Education 2018/10/1「The Magic of a Swiss School」より
※6:「The world’s most exclusive boarding schools」The Telegraph 2018/8/15 より
※7:Catherine Ostler「Inside Le Rosey, the World’s Most Expensive Boarding School」TOWN&COUNTRY 2015/1/26 より
※8:竹内大「レーニエ大公、セネガル皇太子からショーン・レノンまでが同窓生」GQ JAPAN 2016/8/23 より
3)中学時代から樹木希林さんの通訳!内田雅樂さんの英語力
長年海外で過ごされてきただけに、内田雅樂さんの英語力は折り紙付き。
インスタグラムも、大半は英語での投稿です。
そんな雅樂さんが英語を話しているシーンが、2019年のサントリーのCM収録のメイキング映像に残っています。
始まって2分あたりで、外国人CMディレクターと、自転車のサドルの高さについて流暢にやりとりする雅樂さん。
ネイティブアクセントでうらやましいです!
樹木希林さんは、海外の映画祭に行く際に、当時中学生だった雅樂さんを連れていき、通訳をお願いしていたのだとか。
2011年のカナダ・モントリオール映画祭では、若干14歳の雅樂さんが、通訳として一緒に登壇したそうです!(※)
亡くなられた年に、希林さんは日刊スポーツ映画大賞の助演女優賞を受賞され、雅樂さんが希林さんの代理として出席されています。
天国の希林さんも、立派に成長したお孫さんの活躍を喜び、見守っておられることでしょう。
※:女性セブン2018年7月12日号「本木雅弘の長男UTA、自分の力試したいとパリの事務所と契約」
4)米国でバスケ選手として活躍後、パリのモデル事務所に所属!
内田雅樂さんは、小学校5年生の頃からバスケットボールを続けており、ル・ロゼ学院からアメリカ・フロリダ州のスポーツ専門校・IMGアカデミーに転入します。
そのときの気持ちを、「アメリカでの生活に慣れる方が大変だったけど、アメリカのスポーツに対する並々ならぬ情熱や文化に魅了された」と語る雅樂さん。
その後、ドミニカン大学カリフォルニア校のコミュニケーション科に進学し、バスケ選手として活躍します、モデル業専念のために休学されます。(※1)
約190cmと長身の雅樂さんは、それまで何度もモデルのスカウトを受けてきたそうですが、バスケとの両立に悩んでいました。
そんな雅樂さんの背中を押したのは、祖母の樹木希林さんだそうです。
S(写真家の鈴木親さん) UTAさんがモデルをやってみようと決めたきっかけは何?
UTA(以下、U) きっかけは、知人が勧めてくれたこともありますけど、自分の知らない世界に挑戦してみたいという想いがあったことに加えて、何より祖母が助言をくれたことが大きいですね。
もともと祖母と二人で話すことが多かったんです。
モデルを始めるのか悩んでいた時にも祖母が「服を着る仕事は自分をより客観的に見ることができていいと思うよ」ということを言ってくれて、モデルをスタートする後押しになりました。
S モデルをやってみようと思ったのは、祖母である樹木希林さんの言葉が大きかった?
U そうですね。「何をするにも、自分や物事を俯瞰して見るって大事だから。いい訓練になるわよ」って。今考えると祖母の話はいつも的確でポジティブだったなと思います。
(※:MITSUKOSHI ISETAN 2021/3/3「Live free-UTA×鈴木 親~自分らしく、自由であること~」より)
そして雅樂さんは、2018年6月にパリのモデル事務所「success」と契約。(※2)
同月にフランス・パリで開催された「2019年春夏パリメンズコレクション」でデビューしました。
パリコレでは「コム デ ギャルソン・オム プリュス」「アンダーカバー」の2ブランドのショーに出演。
会場で父の本木雅弘さんが見守る中、唯一の日本人モデルとしてランウェイを歩きました。(※3)
以降も、2018年9月にはイタリア・ミラノで「トッズ」のショーに出演。(※4)
2019年3月には、「ロンドン・エルメス・メンズコレクション」で2ルックを披露。(※5)
その後も各国のファッション誌やショーに登場し、国際派ファッションモデルとしての業績を着実に積み上げています。
※1:VOGUE JAPAN 2019/4/15「日本芸能界の寵児、UTAが選んだモデルという道。」より
※2:MITSUKOSHI ISETAN 2021/3/3「Live free-UTA×鈴木 親~自分らしく、自由であること~」
※3:スポーツ報知 2018/6/27「本木雅弘の長男・内田雅樂、パリコレデビュー…190センチ長身、堂々の初ランウェー」
※4:スポーツ報知 2018/9/23「樹木希林さんの孫・UTA、悲しみこらえミラノで堂々ランウェー…本木雅弘譲りのりりしい顔立ち」
※5:大塚千践「UTAが「エルメス」のショーモデルに抜てき 祖父・内田裕也への思いを胸にランウエイを堂々歩く」2019/03/22 WWD
5)樹木希林さんの孫育てと内田也哉子さんの子育て
12歳で日本を飛び出し、海外で学んでいる雅樂さん。
そのきっかけを作ったのは、祖母の樹木希林さんの言葉なのだそうです。
● 孫の留学を後押しした樹木希林さんの言葉
雅樂さんの母・内田也哉子さんは、脳科学者・中野信子さんとの対談で、次のように述べています。
内田:うちの長男と長女は十二歳で欧州のボーディングスクール(全寮制の寄宿学校)に入れたんだけど、それは特に長男のとき、私たち夫婦が過干渉だったからなんですよ。
初めての子だから、ちゃんと育てられているのかという不安も重なって、いちいち子どものやることに口出ししているうちに、すごく萎縮する子どもになっていた。
それを母が見ていて、「とにかく一刻も早く海外に出しなさい」と言われたのがきっかけでした。
中野:希林さん、さすがですね。
(内田也哉子, 中野信子『なんで家族を続けるの?』, 文春新書, 2021 より)
1人目の子どもの育児って本当に不安ですよね。
私も長女の育児にはかなり干渉してしまったので、娘は親の顔色を伺う子どもになってしまいました。
そこで「海外の寄宿学校へ行かせよう!」というスケールの大きさ、さすが内田家ですね。
● ボーディングスクール(寄宿学校)の「パストラル・ケア」
子どもが小さいうちから寮生活を送るというのは、親からすると心配なことも多いです。
でも、「子育てを養育のプロにまかせる」という見方もできるんですよね。
内田也哉子さんは、次のように語ります。
ボーディングスクールは少人数の生徒がハウスに暮らし、養育に長けたハウスマスターが付くから、プロが育てるという理に適っていたわけですね。
私たちはそこまで考えて入れたわけではないけれど。
ボーディングスクールに入れるまでの自分の子育てを振り返ると、十九歳で結婚して、二十一歳で長男、二十三歳で長女を産んで、その頃は、どうしてこんな繰り返しの遊びに何時間も付き合わなくてはいけないのよ、せっかく作った離乳食をなんでベーッと吐き出しちゃうのよ、といら立ちと闘いながら育てている感じでした。
いちばん下の子は三十四歳で産んだので、もう少しリラックスして子どもを見ることができた。
(内田也哉子, 中野信子『なんで家族を続けるの?』, 文春新書, 2021 より)
海外のボーディングスクールのパンフレットを読んでいると、「ハウス(寮)でのパストラル・ケア」という言葉がよく出てきます。
パストラルというのは、「パスター(羊飼い)が羊の世話をする」というのがもともとの意味。
パスター=牧師でもあり、パストラル・ケアは「牧師が信者を親身になって導く」という意味から、「青少年がその生活・成長の過程で横道に迷いこむことのないように世話し援助すること」を指す言葉になっています。(※)
養育経験が豊富なハウスマスターや寮母さんが、共同生活の中で子どもの悩み・問題を見出し、支援するということですね。
内田雅樂さんが通われたル・ロゼ学院の親向けハンドブックには、「パストラルシステムとカウンセリング」という項目があり、ボーディングディレクター、ハウスマスター、クラスチューター等が組織的に、子どもたちの寮生活をサポートすると書かれています。
※古阪肇「英国の寮制私立中等学校におけるパストラル・ケアの重要性」,早稲田教育評論第30巻第1号, 2016 より
● 本木雅弘さん・内田也哉子さんの子育てから考える「留学適齢期」
本木雅弘さん・内田也哉子さんは、長男の雅樂さんを、12歳でスイスのル・ロゼ学院に留学させました。
そして、2歳年下の妹・内田伽羅さんは、同じく12歳でイギリスの女子校「ダウンハウス・スクール」に留学しています。
伽羅さんのときは、年の離れた弟の玄兎くんがまだ2歳で、姉弟を一緒に育てたいという考えから、本木さん・也哉子さん・玄兎さんの3人がロンドンに引っ越してしまいます。
そして伽羅さんは、平日はダウンハウススクールの寮で過ごし、週末は片道1時間かけてロンドンの家族宅で過ごすという生活を送りました。
ル・ロゼ学院では、小学生からの留学も受け入れていますが、同校日本人OGの方(Uさん)が、印象深いことをおっしゃっていました。
―高校1年生から留学した場合のメリットは何だと思いますか?
Uさん:あまり小さい頃から海外に行くと、日本人としてのアイデンティティがなくなることがあります。
ル・ロゼにもそういう人がいっぱいいて、『自分は○○人だけど、いろんなところに住んでいて、自分が何人というのはない』という人がいっぱいいるんです。
だから、自分が日本人であるということがしっかり確立して、しかもまだ柔軟な時期に海外に出ることができたのはよかったと思います。
親子関係としても、中学くらいまでなら生活ルールやマナーをしっかり親から教えてもらえるし、ある程度のものをわかった上で出ることができます。
―では、逆に中学やもっと下の年齢から留学する場合のメリットは何だと思いますか?
Uさん:小さな頃から行けば、語学はバイリンガル、トライリンガルにはなれますね。
やっぱり家庭ごとに何を最優先するのか?ということなんじゃないでしょうか。
(YUKASEE media 2010年「王侯貴族が集うスイスの名門校『ル・ロゼ』での高校生活」より)
このインタビューに登場するUさんは、留学適齢期について的確に発言されていると思います。
Uさんによると、ル・ロゼ学院では中3から高1にかけて留学してくる生徒が最も多いそうです。語学の面、国際バカロレア資格取得の面からも、それ以降の入学は厳しいとのこと。
また、内田也哉子さんと対談した脳科学者・中野信子さんによると、幼少期にいろいろな価値観の中でもまれることは、知能を伸ばすには良いそうです。
しかし、特定の養育者と長い時間を過ごさないことによって、愛着(=特定の人に対する情緒的な絆)が形成されにくくなり、人間関係を回避しがちになったり、逆に「この人は」と思ったらしがみついてしまったりすることがあるとのこと。(※)
このように見てくると、
- 小学校は日本で家族が共に過ごし、特定の養育者との間に「愛着」を形成する
- 小~中学校にかけて、日本人アイデンティティ、生活ルール、マナーを身につける
- 中~高校にかけて海外に出て、悩みや問題を相談できる仕組みのもと、柔軟な時期にさまざまなことを吸収する
という1つのモデルが見出されます。
このモデルを参考にして、家庭ごとに何を優先するかを考慮し、我が子の留学適齢期を考えたらいいのかな、と思います。
妹の内田伽羅さんが留学した英国ボーディングスクールや、本木雅弘さん夫妻のイギリス移住については、↓↓↓こちらの記事をご覧ください。
※内田也哉子, 中野信子『なんで家族を続けるの?』, 文春新書, 2021 より
まとめ
内田雅樂さんのインタビューなどを拝見していて強く感じるのが、雅樂さんの謙虚さです。
有名な祖父母・両親とナチュラルに向き合い、気負わず受け入れている姿が素敵だなあと思います。
日本を代表する個性派女優であった樹木希林さん。
そして第一線で活躍し続ける俳優・本木雅弘さんと、独自の感性で文筆活動を行う内田也哉子さん。
才能ある有名人の皆さんの子育ては、一般人とはスケールが違います。
でも、子どもへの愛情の根本は、私たちと変わらないはず。
私たちとは比べものにならない競争の世界で、多額の収入を得て、知恵と情報と経済力を駆使して、子育てに取り組んでいる。
そのあり方から、私たちが学べることもあるのではないかと思い、こうした記事を綴っています。
<参考文献>
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